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抗ガン剤と味覚障害 [健康]

 北海道新聞に、あるパンコーディネーターが抗ガン剤の治療を途中で止めたことを公表していると記事の中で紹介していた。

 記事の本題はそこではないのだが、味覚障害が出てきたので、医師と相談して中断したという。たしかに、味覚があっての仕事だから、味覚障害はほぼ職を失うことを意味する。しかし、ずいぶん悩んだ結論ではないかと思う。
 どこの部位の癌かは書かれていなかったので、その判断がどうだったのか何とも言えないが、自分の場合で言えば、中咽頭癌だったので、抗ガン剤と放射線治療の両方を同時に行った。同時の方が、効果が高いというのだ。
 どちらの治療も、味覚障害を伴うことは事前に聞いてはいたが、実際2週目くらいから味がだんだん分からなくなり、4週目には全く感じなくなった。放射線の影響で喉の中が焼けてきたせいもあるのだろう。
 経過を言うと、11月30日から抗ガン剤を点滴し(放射線は11月26日から)、12月29日にはぱったりと食べることが出来なくなった、あらかじめ作ってあった胃ろうからの液体栄養剤摂取となった。放射線は月曜から金曜までの毎日、抗ガン剤は週一回なので、放射線が22回、抗ガン剤が4回を過ぎた頃だった。
 2011年2月の退院時もまだ食事がとれず、口からものを食べたのは、2月末だったろうか。味は全く分からなかった。
 その後少しずつ、甘い、しょっぱい、辛い位は分かるようになってきたが、2年後の今でも、本当の味は分からない。味覚の記憶はあるので、例えば妻が作ったカレーを食べても、過去の記憶と一致しないのだ。おいしいとも感じない。
 もともと、食べることにあまり執着はなかったから、そんなに気落ちはしないが、人生の楽しみの一部が欠落している感じだ。今、おいしいと感じるのは、冷たいビール位だ。だが、幸い癌の再発は今のところ無い。
 味覚を温存するために、癌治療の一部を中断することは、再発の可能性を高めることになる。その恐れに耐えられるかどうかは、これこそ本人でないと分からない。
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