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アクゼル『フーコーの振り子』を読む [雑感]

 この本は以前に読み終わっていたが、ケン・オールダー『万物の尺度を求めて』を読む内に矛盾点に気がついた。

 ケン・オールダーの著書は、メートル法を定めた子午線の計測についての歴史書だが、アクゼルの著書71ページには次のような記載がある。

 「1792年に国民公会は、二人の天文学者ピエール・メシェンとジャン=バティスト・ジョゼフ・ドランブルに、パリ子午線の測量の任を委ねた。これが成功すれば、両極を通る地球一周の長さのわずか4000万分の一として定義されているメートルという単位を、正確に決定できるはずだった。二人の天文学者は、フランスとスペインを縦断するいくつもの過酷で試練に満ちた探検を行い、挙げ句の果てにうち一人はマラリアで命を落としたがそれでも任務を達成できなかった。」 そこでアラゴーの登場となり、彼は、1805年にその任に着き、1809年にパリに戻る。

 とあるのだが、ケン・オールダーの本に寄れば、この二人の天文学者は1798年に仕事を終了し、1799年には最初のメートル原器が作られているのだ。メシェンがバレンシア地方で測量中にマラリアで死んだのは、1804年のことで、これは彼の過去の観測値をより正確にする意図だったという。
 もちろん、アラゴーの子午線測量は歴史的事実だろうが、その目的は、メートルを決定することではなく別にあったはずだ。従って、上記の記述には誤りが含まれているし、またどうもどこかの百科事典からそのまま抜き書きしてきたような気配が感じられるのだ。
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