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遅れる電波時計 [雑感]

 居間の壁掛け電波時計が遅れるようになった。

 あまり高価ではないもののせいか、時々挙動がおかしくなる。夜中に起きて、時計を見たら、長針がぐるぐる回っていたこともある。
 昨晩、妻が「電池が無いんじゃないの」と言うので、下ろして電池を外し、乾電池専用の簡易テスターに挟むと、まったく針が振れない。ほとんど容量がないのだ。新しい電池と交換したら、分針も時針も秒針もぐるぐる回って、0時0分0秒で停止した。そしてじっと動かない。しばらく見ていたが、動く気配がないので、見るのを止めた。
 今日になって時計を見ると、正確に時を刻んでいるようだ。遠くから送られた正しい時の電波をやっと受けたと言うことだろうか。

 話は全く変わるが、わたしは、この「送られた」という言葉を聞くと、何時も、宮沢賢治の「生徒諸君に寄せる」という詩を思い出す。
 その冒頭の一節。

 生徒諸君
 諸君はこの颯爽たる
 諸君の未来圏から吹いて来る
 透明な清潔な風を感じないのか
 それは一つの送られた光線であり
 決せられた南の風である

 この一節だけでも、宮沢賢治は、農学者であるのに、あくまで詩人なのだな、と思う。
 未来から風は吹いてこないし、風は光線ではない。だけど、それを感じないのか、と問うところから、賢治の世界が広がるのだ。
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