栗饅頭 [雑感]
職員室の一角に菓子盆があり、そこに入っているお菓子は誰が食べてもいい。(生徒が寄らない場所だ。)
朝に、大体は教頭が補充しているようだが、職員や旅行的行事のお土産などもあり、昼くらいには無くなる。
昨日は、栗饅頭が入っていた。懐かしいお菓子だ。
小学校の頃、東旭川町にいたが、たまに父の兄にあたる伯父が、家に遊びにやって来た。祖父がわたしの家で暮らしていたせいもある。栗山町に住んでいて、いつも決まって栗山の栗饅頭をお土産に持ってきてくれた。
ある夜、わたしが家の前で、おもちゃの双眼鏡でオリオン座を見ていたら、「○○さん、いらっしゃいますか」と、その伯父が急に訪ねてきた。兄なのに、弟のことを「○○さん」と呼ぶのは変だな、と思ったが、「いますよ」と、家の中に案内した。手には荷物と道具箱を持っていた。
両親と話をしていたが、後でなにげに母の話を聞くと、奥さんと不仲になって、家を出てきたという。板前をやっていたので、こちらで働くのに道具も持ってきたそうだ。
何日か家にいて、母が三食を世話していたが、「上げ膳、据え膳でありがたい」と感謝していた。そのうち、親戚が集まって相談をして、栗山に帰した。だが、その直後、自死してしまった。
戦争にも行き、指を何本か失ったそうで、いつも白い手袋をしていた。
父は、栗山に帰したことを悔やんでいた。
栗饅頭は、それ以来食べたことが無かった。
朝に、大体は教頭が補充しているようだが、職員や旅行的行事のお土産などもあり、昼くらいには無くなる。
昨日は、栗饅頭が入っていた。懐かしいお菓子だ。
小学校の頃、東旭川町にいたが、たまに父の兄にあたる伯父が、家に遊びにやって来た。祖父がわたしの家で暮らしていたせいもある。栗山町に住んでいて、いつも決まって栗山の栗饅頭をお土産に持ってきてくれた。
ある夜、わたしが家の前で、おもちゃの双眼鏡でオリオン座を見ていたら、「○○さん、いらっしゃいますか」と、その伯父が急に訪ねてきた。兄なのに、弟のことを「○○さん」と呼ぶのは変だな、と思ったが、「いますよ」と、家の中に案内した。手には荷物と道具箱を持っていた。
両親と話をしていたが、後でなにげに母の話を聞くと、奥さんと不仲になって、家を出てきたという。板前をやっていたので、こちらで働くのに道具も持ってきたそうだ。
何日か家にいて、母が三食を世話していたが、「上げ膳、据え膳でありがたい」と感謝していた。そのうち、親戚が集まって相談をして、栗山に帰した。だが、その直後、自死してしまった。
戦争にも行き、指を何本か失ったそうで、いつも白い手袋をしていた。
父は、栗山に帰したことを悔やんでいた。
栗饅頭は、それ以来食べたことが無かった。