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「わたしを離さないで」 [雑感]

 DVDで「わたしを離さないで」(2010)を借りて観た。

 原題は、"Never Let Me Go"。言わずとしれたノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロ氏の原作(2005)を映画化したものだ。原作自体はベストセラーになり、映画も大きな反響があったようだ。
 わたしも、イシグロ氏がノーベル賞を取らなかったら、特に見る動機も無かったろう。
 近未来のことのようでいて、原作の裏扉には「1990年代末 イギリス」とある。すでに過去の物語なのだ。彼ら・彼女らはすべて、臓器移植のドナーとして「作られた」体で、全員が暮らす全寮制の学校の中の出来事から物語が始まる。彼らがいつ自分たちの運命を知り、それを受け止めるのか、映画では分からない。自分もドナーである介護人が、自分の恋人が4度目の臓器提供の手術が始まる所で映画は終わる。彼らの嘆きや悲しみは、どこへ行ってしまったのだろう? そして、自分は死の運命から逃れることは出来ず、しかし他人は生きる、という疑問はどこに隠されてしまうのか。原作に戻りたくなる映画だった。
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