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「わたしを離さないで」 [雑感]

 DVDで「わたしを離さないで」(2010)を借りて観た。

 原題は、"Never Let Me Go"。言わずとしれたノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロ氏の原作(2005)を映画化したものだ。原作自体はベストセラーになり、映画も大きな反響があったようだ。
 わたしも、イシグロ氏がノーベル賞を取らなかったら、特に見る動機も無かったろう。
 近未来のことのようでいて、原作の裏扉には「1990年代末 イギリス」とある。すでに過去の物語なのだ。彼ら・彼女らはすべて、臓器移植のドナーとして「作られた」体で、全員が暮らす全寮制の学校の中の出来事から物語が始まる。彼らがいつ自分たちの運命を知り、それを受け止めるのか、映画では分からない。自分もドナーである介護人が、自分の恋人が4度目の臓器提供の手術が始まる所で映画は終わる。彼らの嘆きや悲しみは、どこへ行ってしまったのだろう? そして、自分は死の運命から逃れることは出来ず、しかし他人は生きる、という疑問はどこに隠されてしまうのか。原作に戻りたくなる映画だった。
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shira

 イシグロ氏は日本との二重国籍を望んでいたようなのですが日本側からのダメ出しを受けてやむなくイギリスの単一国籍にしたらしいです。それをノーベル賞を取った途端に日本人扱いするというのも、政府もメディアもずいぶんと厚顔無恥です。
 乙武洋匡がツイッターで「賞を取れば日本人 事件を起こせば外国人」と皮肉ってました。
by shira (2017-11-18 21:57) 

tyuuri

 二重国籍がダメという理由がよく分からないのですが、国籍云々にかかわらず、彼は英国で育ったからこそこの小説が書けたのだと思います。日本で育ち、教育を受けていたら、果たして小説家になっていたかどうかは、これは分かりませんね。
by tyuuri (2017-11-19 16:38) 

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