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心の中に平和の砦を [雑感]

 1945年に採択されたユネスコ(国際教育科学文化機関)憲章前文に、「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなくてはならない」とある。

 以下引用。

 前文
 この憲章の当事国政府は、その国民に代って次のとおり宣言する。
 戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない。
  相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった。
  ここに終りを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理の代わりに、無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義をひろめることによって可能にされた戦争であった。
  文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育とは、人間の尊厳に欠くことのできないものであり、かつすべての国民が相互の援助及び相互の関心の精神をもって果さなければならない神聖な義務である。
  政府の政治的及び経済的取極のみに基く平和は、世界の諸人民の、一致した、しかも永続する誠実な支持を確保できる平和ではない。よって平和は、失われないためには、人類の知的及び精神的連帯の上に築かなければならない。
 これらの理由によって、この憲章の当事国は、すべての人に教育の充分で平等な機会が与えられ、客観的真理が拘束を受けずに探究され、且つ、思想と知識が自由に交換されるべきことを信じて、その国民の間における伝達の方法を発展させ及び増加させること並びに相互に理解し及び相互の生活を一層真実に一層完全に知るためにこの伝達の方法を用いることに一致し及び決意している。
 その結果、当事国は、世界の諸人民の教育、科学及び文化上の関係を通じて、国際連合の設立の目的であり、且つその憲章が宣言している国際平和と人類の共通の福祉という目的を促進するために、ここに国際連合教育科学文化機関を創設する。

 引用ここまで。

 改悪された旧「教育基本法」の前文もそうだが、読むたびに涙が出てくるのは、歳を取ったせいだろうか。

 ただ、「戦争は心の中で生まれ」の部分にはずっと違和感を感じていた。戦争は国とそれを後押しする勢力が利権を求め、外交破綻したときに「生み出される」ものではなかったか。

 原文を参照すると、

 Since Wars began in the minds of men, It is in the minds from men that the defences of Peace must be constructed.

 とあるので、素直に「戦争は人々の心から始まるものであるから」ではダメなのだろうか。手元の辞書でbeginに「生まれる」の訳は見つけられなかった。
 わたしとしては、「戦争は人々の心から始まるものであるから、人々の心の中にこそ平和の守りを作らなければならない」と訳したいが、どうなのだろうか。

 領土問題を巡りごたごたしている状況だが、日本にも多くの中国人や韓国人が生活していることをふまえ、われわれは全ての生徒に「心の中に平和の守り」を作る努力を常に怠ってはならないと思う。
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tyuuri

>shiraさん、niceありがとうございます。
>ハマコウさん、niceありがとうございます。
>HIROMIさん、niceありがとうございます。
by tyuuri (2012-09-29 16:59) 

tyuuri

>きりたんさん、niceありがとうございます。
by tyuuri (2012-09-29 18:06) 

田中 裕二

「戦争は外交の延長」
ですか。

少なくとも「戦争」と言うものが、武力の衝突によるものだけ、とは限らないと思います。

普通の無辜の人々の心の中に、相手を憎み、命を奪ってもかまわないという感情が湧き上がることが、戦争の始まりではないでしょうか。
だから「戦争は心の中で生まれ」であってると思います。

教育者としてのtyuuriさんは、
扇動に左右されることなく、真実に基づいた判断ができる生徒さんを育てていくことが使命ではないでしょうか。
by 田中 裕二 (2012-10-07 08:28) 

tyuuri

>田中さん、コメントありがとうございます。
by tyuuri (2012-10-07 16:51) 

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