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教員免許更新制 [学校]

 新年、と言っても、何も良いことが浮かばない。

 「教育再生」などと言って、時の政府は法律を強行採決で軒並み通したが、何が良くなると言うのか。

 「教育免許更新制」など、もっともたるものだ。

 2009年より、教員免許を10年期限として、30時間以上の講習と修了認定試験を課するというものだ。
(修了認定試験は、5段階評価し、60点以上を合格とする、と言う報道もある。)

 対象者は、現職教員、採用内定者および講師リスト掲載者で、いわゆる「ペーパー・ティーチャー」は更新講習を受けることが出来ない。

 もう50歳になったから、関係ないと思っていたら、その年に35・45・55歳になる者がすべて該当するそうだ。
 そう言えば、60歳で定年退職しても、年金が出ないので、5年間は「再任用」で働かなくてはならない。
 65歳までは、免許が必要なのだなぁ・・

 講習実施主体は、大学、都道府県・政令指定都市教育委員会、文部科学省、独立行政法人、放送大学などで、いずれも国の委託ではなく、任意で開講申請を行う、のだそうだ。
 全国で100万人くらいが対象だ。年に10万人。

 北海道で考えると、開講するのは教育大学くらいだろう。全道に5分校(今は分校とは言わなくなったが)。
 札幌、岩見沢、旭川、釧路、函館。
 道内で、教員免許更新対象者は、幼・小・中・高で5万人くらいだろうか(これはおおまかな数字)。
 年間、5000人程度が更新対象になる。仮に5分校で分けても、1分校1000人。
 これを講習して、修了認定するのに、どれほどの大学教員の数と時間が費やされるのだろう? 
 本来の教育や研究活動以外に、こんなものを押しつけられて(任意で開講だから、押しつけでは無い?!)、大学の教員は、やっていけるのだろうか。

 僻地で勤めている教員は、どうやって、開講場所に通うのだろう。
 放送大学もある、と言うが、そのための受講等の費用はすべて自分持ちだ。

 そもそも、国が法改正しておいて、費用負担が個人というのもおかしい。
 受講費用や更新手続き費用、交通費ももちろん、自分持ちなのだ。(根拠が分からないが政府は、受講費用は3万円程度と言う。)

 しかも、当初の報道では、運転免許更新と同じく、講習に通う際は、「年休」扱いにするとしていた。
 これについては、さすがに、昨年10月の中教審の報告では「放課後や休日、長期休業中に受講、職務専念義務免除の研修扱いも可」となっている。しかし、実際どうなるかは分からない。
 職専免となると、「外勤」となり、授業に穴が空く。
 きわめて単純に考えて、学校に30人の教員がいると、毎年3人が更新受講に行くことになる。小・中・高の長期休業中に開講してくれたらいいのだが、大学の都合で、それが出来なくなると、学校の授業に30時間×3=90時間の穴が空くことになる。生徒にとってはいい迷惑だ。(自習になって喜ぶかもしれないが・・)
 放課後や休日は、大学の教員にとっても、勤務時間外だ。時間外手当はもちろんのこと、そもそも、開講してもらえるのだろうか?

 教育委員会も、新たな業務を担うことになる。
 あなたは免許切れ近くだから、講習を受けなさいと、毎年告知する事になるのだろう。(これは校長がやることになるのかもしれない)
 札幌では、対象者は1万人くらいだろうから、毎年1000人。
 そして、修了認定確認の手続きを経なければならない。
 教員免許状も新たに発行するのだろう。
 このために、全国でどのくらいの税金を使うのか?

 そして、実効はどうか?
 制度導入の目的は、「最新の知識技能の修得」だという。

 10年に1度の30時間の講習で、「最新の知識技能の修得」ができますか?

 まあ、はっきり言って、教える側にいる立場から考えると、ほとんど意味がないです。
 「最新の知識技能」を教え込むなら、3ヶ月間くらい缶詰にしないと、無理です。
 つまり、最低でも、一日6時間×週5回×3ヶ月=900時間 くらいかけないと新たなことは習得できません。
 また、このことによって、何が得られるか、目標がなければ、人間は努力しません。

 今まで終身制だった免許が、急に更新制となり、講習受けて修了試験合格しなければ、首よ。講習費用は自分持ちね。
 と、突然言われて、これを国の恫喝と考えない人間は、馬鹿だ。
 給料が月千円でも高くなるのなら、ちょっとは考えなくもないけど。

 中教審が教員免許更新制でアメリカの例を持ち出すけど、世界で更新制をやっているのは、アメリカの特定の州だけです。しかも、上級免許取得という飴というか、「目標」があるからね。
 アメリカの教員の質の悪さは、30年くらい前から指摘されて、「学校崩壊」の映画にもなったくらい。
 だって、待遇が悪すぎたもの。長期休業中は首だったのだから。休みになるとタクシーの運転で生活するとか。
 昔、アメリカに教育現場視察に行った同僚から聞いた話では、そこでは、学校は完全に三権分離されて、教師とカウンセラーと警察。教師は教え、カウンセラーは生活指導し、警察は学校内の治安を守る。給食はあるが、食堂で食べるので、治安維持のために警察が警棒を持って巡回していたという。今はどうか分からないが。
 日本では、この三分野をすべて教員が引き受けなければならない。これって、ある意味スーパーマン・スーパーウーマンですよ(わたしはそうではないが)。

 国よ、アメリカを真似するのなら、すべて真似をしていただけませんか。
 教師は学校内での教育に専念し、それ以外の指導はしない。生活指導は専門の職員を置く。学校内外の治安維持は警察を増員しゆだねる。給食は、食堂を設置し、そこで食べさせる。
 現行、教員志望者が激減し、現職の精神疾患が激増しているのは当然です。


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