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『博士の愛した数式』 [雑感]

 小川洋子さんの『博士の愛した数式』とその英訳"The housekeeper and The professor "(Vintage Books, London)を読んでいる。

 英語は好きではない。
 小学校でローマ字を習い「あいうえお」を"aiueo"と書くように指導されて、英語になったら「エィ、アィ、ュウ、イィ、オゥ」と読むように言われたら、変だと思うのが素直な感想では無かろうか。12歳の時には反発も出来ず従ってきたが。最近になって「英語史」を読むと、1400年頃から1700年にかけて「大母音推移」が起こり、発音が変化したという。原因は不明。要は発音がモノグサになったそうだ。結果、綴りと発音がこれだけ乖離している言語となった。まあ日本語も漢字の読みは複雑怪奇だが、これはもともと文字を持たなかった言語だから仕方が無い。
 そうして義務教育から大学まで英語を勉強させられたから、そこそこ読めてしまうが、本意では無い。今から考えると、奴隷のように勉強させられていたように思う。英語よりエスペラントのほうがはるかに優れているのに。

 そこで表題に戻るが、どうして「家政婦と教授」に変わってしまったのだろう? 
 普通に訳したら"The numerical expression that the Doctor loved"ではないか?
 この小説で重要な役割を果たすのがルートと呼ばれる家政婦さんの子どもで、この表題では家政婦と初老の男との物語のような印象を受ける。
 かつ、英訳本の2カ所でこの小説の中核となるオイラーの公式にイコールが抜けている。訳された方はStephen Snyderさんで、全般的にとても良い訳だと思うが、数学は少し苦手だったようだ。(あるいは編集者のミスか? しかし、ミスにしては酷すぎる。)
 いつかエスペラント訳をしたいと思うが、持病のうつがあるのでまだその気力が無い。

 ついでに書くと、この小説は2005年に映画化されて、寺尾聰さんが主演している。この作品で日本アカデミー賞で優秀主演男優賞を受賞した。
 だがなぁ、寺尾さんの身長は176センチで当時58歳。小説の想定では、博士の身長は160センチほどで猫背でもっと小さく見え、かつ年齢は64歳とのことだ。彼の父の宇野重吉さんが生きていればそれこそ適役なのだがなぁと思っている。

 私も64歳となり、後8ヶ月で65歳となる。私は博士では無いが、数学は好きだから毎日何かしら数学の本を読んでいる。定年後の人生とはこんなものなのかもしれない。
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shira

なるほど。
訳者は数学や数式よりも人間関係を重視したんですかね。
まあでも、タイトルを直訳するとホラー映画みたいですね。
by shira (2022-03-14 22:28) 

tyuuri

 「ホラー映画」というコメントは意外でしたので笑ってしまいましたけど、そういえば、キューブリック監督の"Doctor Strangelove"(1964)がありましたね。あれは笑えるが恐ろしい。
 原作はお読みになっていますでしょうか。私は歳のせいか涙腺が緩くなって同じ箇所で何度も涙して読み返しています。ぜひ、図書館でも。
by tyuuri (2022-03-15 08:05) 

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