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栄養剤を片付ける [健康]

 2011年の中咽頭癌治療後、退院してから自宅で使用するために持ってきていた栄養剤(「エンシュア・リキッド」)をやっと片付けた。

 入院中は、放射線治療半ば頃から、酷い口内炎になり(首の皮膚も剝ける)、口から食事が出来なくなったので、胃瘻(内視鏡を使って腹部から胃にかけて穴を開け、専用のカテーテルを埋め込む)を作って栄養剤を点滴して生きていたのだ。退院後も、しばらくは自宅で栄養剤を使っていた。病院では、看護師さんに頼めばすべてやってくれるのだが、退院後のことを見越して、看護師さんに教わって、ほとんど自分でやっていた。薬品ではなく食料なので、多少雑菌が入ろうが、胃で消化されてしまうので、素人でも出来るのだ。もちろん洗浄は毎回行うが。
 1缶250mLで250kcalなので、朝・昼がそれぞれ2缶500kcal、夕は3缶750kcalだったろうか。1日で1750kcalだ。従って1週間分で49缶となる。退院後の自宅用として処方されたのは2週間分くらいだったろうか。100缶近くになり、段ボールの山を車に積んで家に帰った。
 ただ、復職するためには、いつまでも栄養剤に頼っていられないので、痛み止めに「オプソ内服液10mg」という医療用モルヒネを飲み口内の痛みを麻痺させてから、口からものを食べる練習をした。味覚は無くなっているし、放射線で唾液腺もダメージを受けているから唾液も満足に出ない。とにかく、食べ物を噛んで水か牛乳で飲み込むばかりだ。何とか食べられるようになったので、胃瘻のカテーテルも取って貰った。「背水の陣」と言うやつかもしれない。後は口から食べるしかない。結局、8缶ほど残ったのものをそのまま放置していたのだ。
 ここで「医療用麻薬(モルヒネ)」について、色々誤解があるようなので付け加えるが、癌などの激しい痛みがある場合については、医師の処方に従えば中毒や依存症になることはないし、意識は元のままで、もちろん幻覚も陶酔感も無い。ただし急に止めると離脱症状(禁断症状)が起きることはある。
 2013年に下顎骨髄炎で顎の一部を離断したときは、鼻からチューブを胃まで入れて、やはり3食栄養剤で生きていた。菌が入るとダメなので、口に入れられるのは水だけだった。退院後、食欲不振になったので、栄養補給のために、行きつけの内科医から処方して貰った栄養剤(缶)も残っていた。(カロリーを高くするためにかなり甘いので、そうそう飲めるものではない。一応チョコレート味とかコーヒー味とか色々あるようだが。)
 いつか捨てようと思ってはいたのだが、時が経つにつれて、存在も忘れてくるものだ。今日は、ついに意を決して下水口に中身を捨てた。と言っても、缶を開けて流すだけで、大した作業では無いのだが。
 手元に栄養剤があると言うことで、なんだかの安心感が残っていたのかもしれない。使用期限は1年で、とっくに過ぎているというのに。
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bashy0322

まさに戦いですね。
by bashy0322 (2016-09-21 06:30) 

tyuuri

 「人間は何事にも慣れる存在だ」(ドストエフスキー)という言葉を思い出しましたね。
by tyuuri (2016-09-21 14:30) 

tyuuri

>ぼんぼちぼちさん、niceありがとうございます。
by tyuuri (2016-09-22 06:04) 

tyuuri

>yamさん、niceありがとうございます。
by tyuuri (2016-09-24 18:09) 

tyuuri

>shiraさん、niceありがとうございます。
by tyuuri (2016-09-29 15:53) 

tyuuri

>ネオ・アッキーさん、niceありがとうございます。
by tyuuri (2016-09-29 17:52) 

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