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米の生産量と消費量について [環境]

 「一日ニ玄米四合ト/味噌ト少シノ野菜を食ベ」とは、宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」の一節である。

 手帳に記載されている日付から、昭和6年(1931年)11月3日のものと分かる。
 だが、一日四合の米とは、炊飯するとお茶碗8杯となり、多すぎないか? 今の感覚では、一食2.7杯は大食いになるが、当時は普通の量だったという。が、肉類をとらずにタンパク質を摂取するにはこれでも不十分だったと言える。実際、37歳で死去している。
 カロリー的には、成人男子で1日最低1800キロカロリーを取るためには1日4合の玄米でまかなえるが、現実には労働しなければならないので、2200キロカロリーは必要だ。すでに足りない。タンパク質を計算すると、1日の必要量は平均80gで、玄米でも100g当たり2.8gしかないから、米だけで必要量を取るには、1日2857g(19合=茶碗38杯)を取らないと足りない。卵とか肉を摂取しないと早死にするのだ。

 そこで、米についてざっと調べると、江戸時代は、1食に米1合、1日3合がおおむね成人1人の消費量とされていたそうで、年間では、3×365=1095(合)となり、およそ1石(=10斗=100升=1000合)を1年間の消費量とした。
 ここで生産量だが、江戸時代は、田の1反(およそ10アール)での収穫が米1石だったので、1町(およそ100アール=1ヘクタール)では10石取れることになる。
 これが石高の基本となる。他の税となるものを含めて、江戸中期で全国では2500万石、当時の日本の人口が2600万人ほどだそうだから、大体が主食の米を食べることが出来たようだ。足りない分は、粟や稗で補っていたのだろう。
 江戸時代の平均寿命は、45歳ほどだそうだ。米以外に魚なども食べていたのだろうから、それでもこんなものなのだろう。

 さて、現在の水稲1反あたりの平年収量を調べると、530キロだという。合では3533合(約3石=9俵)。収穫率は3倍になっている。
 販売価格は、平均で1合あたり50円程度だから、1反で18万円程度。純益は10万円程度だろう。
 日本の稲作農家の平均作付面積は1ヘクタールなので、年収は100万円程度にしか過ぎない。それでもやっていけるのは、稲は作付けや刈り取りの時には時間も労力もかかるが、年間の平均農業労働時間は615時間だそうで、一日8時間制だと年間77日の換算となる。したがって、兼業によって稲作を行っている農家がほとんどということになる。

 米の消費量だが、平成9年で1人あたり66.7㎏(445合)、平成27年では52.0㎏(347合、1日およそ1合)となっている。米以外にパンや麺、パスタなど小麦粉などを使った炭水化物を摂取しているから健康に問題は無いと思われるが、米離れはなお続きそうだ。
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田中 裕二

昔の日本人の平均寿命が短かったのは、摂取カロリーの少なさにもあったのでしょうか?

一汁一菜とは言いますが、ベジタリアンの人に健康な方が少ないってのが分かる気がします。
by 田中 裕二 (2015-06-24 23:52) 

tyuuri

>makimakiさん、niceありがとうございます。
>田中裕二さん、コメントありがとうございます。
 昔の人の平均寿命が短かったのは、摂取カロリー量よりも内容にあったような気がしますね。
 例えば、「脚気」という病気は、玄米から変わって白米を食べ続けてビタミンB1不足から起きる物ですが、その知識(発見)が無かったために、1940年代まで毎年脚気で1~2万人が死亡しています。今は副食等が豊富になってビタミンをまかなえるのでほとんど無い病気ですが、ビタミン不足となると脚気になる人はいます。
 菜食主義者の方のことはよく分かりませんが、自分の食べている食品のカロリーと成分を調べればいいだけの話だと思いますが。今はPCがあるので、そんなに手間もかかりません。栄養が不足していれば、当然不健康になります。
 医学と栄養学の進歩が、今の日本人の平均寿命を伸ばしているのではないでしょうか。
by tyuuri (2015-06-25 18:55) 

tyuuri

>くらいふさん、niceありがとうございます。
by tyuuri (2015-07-05 16:37) 

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