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山のあなたの空遠く [雑感]

 『海潮音』(上田敏訳詩集・1905年)にあるカアル・ブッセの詩。

 山のあなたの空遠く
 「幸(さいはひ)」住むと人のいふ。
 ああ、われひとと尋(と)めゆきて、
 涙さしぐみ、かへりきぬ。
 山のあなたになほ遠く
 「幸」住むと人のいふ。

 ネットで見つけた原詩。(Uのウムラウトは面倒なので省略)

Uber den Bergen, weit zu wandern,
sagen die Leute, wohnt das Gluck.
Ach, und ich ging, im Schwarme der andern,
kam mit verweinten Augen zuruck,
Uber den Bergen, weit,weit,druben,
sagen die Leute,wohnt das Gluck.

 その英訳。

Over the mountains,
far to travel, people say,
Happiness dwells.
Alas, and I went,
in the crowd of the others,
and returned with a tear-stained face.
Over the mountains,
far to travel, people say,
Happiness dwells.

 PCに翻訳させたようなどうでもいい英訳だと思うが、元の詩の意味はまあ分かる。全然詩的ではないけど。ドイツ語は恥ずかしながら大学1年の時に習った。
 この上田訳はその昔40年くらい前、三遊亭圓歌(当時は歌奴)が「山のあなあな」(演題『授業中』)の落語でものすごくうけていた。

 「あなた」って、ずっとよく分かっていなかったけど、彼方(あなた)、「かなた」って意味だったんですね。いや、古文は、高校時代「古典」の時間はほとんど寝ていて授業を聞いていなかったので、分からないのです。ごめんなさい。お恥ずかしい。当時買った古語辞典だけはまだ持っていますが。「尋(と)め行く」とは「たずねて行く」こと。「涙差しぐむ」とは「涙が目に浮かんでくる」とのこと。みんな、古語辞典に載っていました。
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nobu

小学校の校歌に「彼方」が出てきます。もう140年近く続いている学校なので歌詞に「学びの庭」とか「いと深く」などがでてくるので小学生には難しいと思います。実は「彼方」ではなく「新た」と覚えていましたが、最近子供が同じ小学校に通うようになって改めて校歌を聞く機会があり間違いに気が付いた次第です。
by nobu (2011-11-23 09:25) 

HIROMI

「彼方」ならば、「かなた」と書いてよ。「あなた」と書くから誰かのことかと思ってしまった。
…と、昔ちょっと憤慨しました。
by HIROMI (2011-11-23 09:53) 

tyuuri

>nobuさん、昔の校歌には難しい言葉が使われていますね。
>HIROMIさん、考えたら100年以上前の日本語ですから、今になっては分からないのも無理はないのかも。
>ハマコウさん、niceありがとうございます。
by tyuuri (2011-11-23 15:54) 

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