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「大般涅槃経」のエスペラント訳 [雑感]

 まず、エスペラントとは何かを簡単に説明しよう。以前、図書館の司書さんに、こまつあやこさんの書いた小説『ポーチとノート』にもエスペラントが出てくるんですよ、と言ったら、「エスペラントって何ですか?」と聞かれたからだ。それだけ日本では認知度が低くなっているのだ。50年前だったら、本屋か古本屋には、エスペラントの入門書があったものだが。
 エスペラントとは、1887年に、ポーランドの眼科医ザメンホフが発表した国際語(人工語)だ。最初のパンフレットの題名は単に「国際語」であり、エスペラント(「希望する者」の意味)はザメンホフのペンネームだった。それがいつの間にか、この言語自体を指す言葉になった。(従って「エスペラント語」という言い方は厳密には正確ではないことになる。)すでに140年近くの歴史を持ち、膨大な翻訳書、原作書が生まれている。また、地域、国、世界単位での組織も多数存在し、現在、世界中でエスペラントを使用している者はおよそ百万人ほどと言われている。

 さて、本題に戻るが、この度、「日本仏教エスペラント連盟(Japana Budhana Ligo Esperantista 略称JBLE)の有志が「大般涅槃経」のエスペラント訳をすすめることとなった。和訳では岩波文庫から中村元訳『ブッダ最後の旅』が出ている。もともとは古い(2500年前!)パーリ語というブッダそのものが語った言葉とされる。中村先生はパーリ語から直接訳している。仏教に詳しくない者でもエスペラント文を読めて関心のある方は翻訳作業に協力していただきたい、と言うエスペラント仲間のメーリングリストのメールを読んで、協力を申し出た。月に2度ほどZoomで検討会を行う。翻訳者はJBLEの代表の方なのだが、使っている底本が片山一良訳『パーリ仏典 長部 大篇Ⅰ 大般涅槃経』だというので、所蔵している図書館を探すと北海道立図書館(江別市)にあったので相互貸借制度を利用して、近くのコミュニティセンターにある地域図書室で借りる事が出来た。(個人で買うには高すぎる。定価9350円、期間は限定だが無料で借りる事の出来る図書館はありがたい。)多分同じ原文から訳しているだろうとは言え、やはり表現は微妙に違う。パーリ語は全く分からないが、どうも単数・複数の区別があるようだ。日本語に訳すとき困るのがこの辺のニュアンスだ。日本語だとどうでも良いようなことが問題になる。
 最初のZoomでの顔合わせは明日の晩だ。6名との話だが、楽しみだ。
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ハマコウ

聞いただけで難しくて大変そうです。
日本語の曖昧さが課題となるのですね。
by ハマコウ (2022-04-21 15:07) 

tyuuri

 学術的に考えるととても難しいのですが、普通にエスペラントが読める人に分かるように、と言うのが方針なので、それほど難しくはないですよ。まあ、でも要約ほど難しいものは無いとも言われますから、どこかで踏ん切りをつけていかないと、進めませんね。
 お経の始まりは大体次の言葉から始まります。
 evam me sutam(パーリ語)
 如是我聞(漢語訳)
 私はこのように聞いた(日本語訳)
 Thus have I heard(英語訳)
 Tiel mi aŭdis(エスペラント)

 これは、アーナンダというブッダのお付きの人の言葉で、誰よりもブッダの言葉をよく覚えていたことから、ブッダが亡き後に、アーナンダがブッダの言葉を伝える、と言う形式になっているのだそうです。「結集」という言葉はお習いになったことがあろうかと思います。
 和訳はすでに読んでいるものとして、読み合わせするのはエスペラント訳ですが、1時間半で5節くらい進めば良いところでしょうか。全部で182節あるので、月2回のペースで18ヶ月かかりますね。でも、お経って結構繰り返しが多いから1年くらいで何とかなるかも。
 中国からインドに渡り、サンスクリット語で書かれた大量のお経を持ち帰り、かつ中国語(漢文)に翻訳した唐の三蔵法師玄奘はものすごく精力的な人だった事が分かります。彼はまず数多くの弟子たちにサンスクリット語を教えて、大量に組織的にお経を訳していくんですね。すごい人だと思います。
by tyuuri (2022-04-22 21:47) 

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